『真実な交わり』 エフェソの信徒への手紙2章11〜22節

※水と油
 「互いに気が合わず反発し会って仲が悪い事。異質でとけ合わないものにたとえ。」
 互いに違い者たちが深く心を通わせ、互いに愛し合い、あたかも一つの体に様に、堅くつながっていくような「真実な交わり」、すなわり神の家族、教会を形成するために、イエス・キリストはこの世にこられ、命を捨てられ、その礎となられた。
 今日の箇所11節に出てくる異邦人とイスラエルの民も、これは民族間のことですが、「水と油」の関係だった。
 神様はまずイスラエルの民を選び、育てたわけですが、選ばれた理由は先祖アブラハムの信仰の故であり、また彼らが小さく弱い民族であったが故でありました。神は彼らを選び、御自身を啓示されたのは、「万物の創造者である神はこんな小さな者をも愛して下さった。そして、神を愛し、互いに愛し合うように律法を与え、その信仰に生きる者を祝福された。」ということを、その恵みを、異邦人に伝えるためであった。ところが彼らはその信頼を裏切った。
 これは私たちにも言えることだ。私たちがまず、神の愛を受けたのは、それによって互いに愛し合い、世にキリストの弟子であることを知らせるためであった。

 2章1節から10節のところを読みます。それは異邦人であったかつての私たちの姿と、その上に注がれた神の愛と恵みを思い起こし、11節につなげたいと思うからです。そして、今日の箇所に続きます。
2:11だから、心にとめておきなさい。あなた方は以前には肉によれば異邦人であり、いわゆる手による割礼を身に受けている人々からは、割礼のない者と呼ばれていました。
2:12また、そのころは、キリストとかかわりなく、イスラエルの民に属さず、約束を含む契約と関係なく、この世の中で希望を持たず、神を知らずに生きていました。
2:13しかしあなたがたは、以前は遠く離れていたが、今や、キリスト・イエスにおいて、キリストの血によって近い者となったのです。   
 
キリストの血によって、前に選ばれたイスラエルの民と同じように愛し、御子の命を代価として、近い者としてくださった。神は決して異邦人を見捨てていたのではなかった。順番があったのです。
 2:4しかし、憐れみ豊かな神は、わたしたちをこの上なく愛してくださいり、その愛によって、2:5罪のために死んでいたわたしたちをキリストと共にいかし、・・・あなたがたの救われたのは恵みによるのです・・・2:6キリスト・イエスによって共に復活させ、共に天の王座に着かせてくださいました。

2:14実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、
2:15規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。   
 二つの者とはイスラエル人と異邦人。「隔ての壁」とはエルサレム神殿にあった異邦人とイスラエル人を分ける壁のこと。
 本来の律法の主旨は、「心を尽くして神を愛し、隣人を自分のように愛する」ことだった。(良きサマリヤ人のたとえ:ルカによる福音書10章)
 「規則と戒律ずくめの律法」とは、外側ばかりの命の通わない、形式的に守っていた冷たい律法である。そこには真実な交わりはなかった。そのような中にキリストは来られ、敵対する二つの者の壁を壊して、一つにするために、十字架で血を流された。

こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、2:16十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。  
 イエス様は私たちを御自分の中に招いておられるのです。アバ、父よ、と呼ぶ、神との親しい関係の中に招いて下さった。私たちの死すべき罪の姿と連帯し、それを引き受け、御自分の命を持って償い、御子と同じ者とし父である神との平和の中に、どちらも入れて、一つの体、神の家族、聖なる神殿に組み入れて下さった。
 2:7こうして、神は、キリスト・イエスにおいてわたしたちにお示しになった慈しみにより、その限りなく豊かな恵みを、来るべき世に現そうち「されたのです。
2:17キリストはおいでになり、遠く離れているあなたがたにも、又、近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせられました。       2:18それで、このキリストによってわたしたち両方の者が一つに霊に結ばれて、御父に近づくことができるのです。  
 2:8事実、あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。このことは、自らの力によるのではなく、神の賜です。

2:19従って、あなたがたはもはや、外国人でも寄留者でもなく、聖なる民に属する者、神の家族であり、
2:20使徒や預言者という土台の上に建てられています。そのかなめ石はキリスト・イエス御自身であり、
2:21キリストにおいて、この建物全体は組み合わされて成長し、主における聖なる神殿となります。
2:22キリストにおいて、あなたがたも共に建てられ、霊の働きによって神の住まいとなるのです。


 ☆ヨハネによる福音書13:34.35「私があなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたかたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」
 ☆テサロニケ一4:9「兄弟愛については、あなた方に書き送る必要はありません。あなた方自身、互いに愛し合うように、神から教えられているからです。」


 神が私たちの心をその愛において捕らえて下さったとき、兄弟愛についての教育が始まった。神が私たちに対して恵み深くあって下さったとき、私たちは同時に、私たちの兄弟に対する憐れみを学んだ。私たちが、裁きではなく、赦しを神から受けたとき、私たちは兄弟を赦す心の用意が整えられた。神が私たちに為して下さったことを、私たちは今、私たちの兄弟に為べき責任がある。より多く受けるほど、私たちはますます多く与えることが出来た。そして、兄弟愛が貧しくあればあるほど、私たちが神の愛によって生きることはそれだけ少なかった。だら、神がキリストにおいて、私たちに出会って下さったように、私たちは互いに出会うべきです。

 ◎ローマ15:7「だから、神の栄光のためにキリストがあなた方を受け入れて下さったように、あなた方も互いに相手を受け入れなさい。」