「福音を伝えた結果」 使徒言行録19章21〜40節

19:21このようなことがあった後、パウロは、マケドニア州(フィリピ、テサロニケ、ベレアの教会)とアカイア州(コリント教会)を通りエルサレムに行こうと決心し、「わたしはそこへ行った後、ローマも見なくてはならない」と言った。
19:22そして、自分に仕えている者の中から、テモテとエラストの二人をマケドニア州に送り出し、彼自身はしばらくアジア州
(エフェソ)にとどまっていた。

 パウロは何を思ってこのような決心をしたのだろうか。この箇所についてコリントの手紙とローマの信徒への手紙からパウロが何を考えていたのか、ひも解いていきましょう。

 A.エルサレム行きについて
@コリントの信徒手紙一 16:1〜9に、この時のパウロの考え、計画が詳しく記されてます。と言いますのも。「コリントの信徒への手紙」はまさに、この時にエフェソからコリントの教会に宛てて書いた手紙であったのです。
 エルサレムの貧しい兄弟たちに手紙を差し伸べる。
16:1聖なる者たちのための募金については、わたしがガラテヤの諸教会に指示したように。あなたがたも実行しなさい。16:2わたしがそちたに着いてから初めて募金が行われることのないように、週の初めの日にはいつも、各自収入に応じて、幾らかずつでも手もとに取って置きなさい。16:3そちらに着いたら、あなたがたから承認された人たちに手紙を持たせて、その贈り物を届けにエルサレムに行かせましょう。16:4わたしも行く方がよければ、その人たちはわたしと一緒に行くことになるでしょう。16:5わたしは、マケドニア経由でそちらへ行きます。マケドニア州を通りますから、16:6たぶんあなたがたのところに滞在し、場合によっては、冬を越すことになるかもしれません。そうなれば、次にどこに出かけるにしろ、あなたがたから送り出してもらえるでしょう。16:7わたしは、今、旅のついでにあなたがたに会うようなことはしたくない。主が許してくだされば、しばらくあなたがたのところに滞在したいと思っています。16:8しかし、五旬祭まではエフェソに滞在します。16:9わたしの働きのために大きな門が開かれているだけでなく、反対者もたくさんいるからです。

 もう一つの「ローマの信徒への手紙」にもパウロは、ローマ行きと募金について、記しています。この手紙はコリント教会から書いています。
B、ローマ行きと募金について(ローマ信徒への手紙15章から)
Aローマの信徒への手紙15:22〜(コリントにおいてローマ教会宛てに書いた手紙)
15:22こういうわけで、あなたがたのところに何度も行こうと思いながら、妨げられてきました。
15:23しかし今は、もうこの地方に働く場所がなく、その上、何年も前からあなたがたのところに行きたいと切望していたので、 15:24イスパニアに行くとき、訪ねたいと思います。途中であなたがたに会い、まず、しばらくの間でも、あなたがたと共にいる喜びを味わってから、イスパニアへ向けて送り出してもらいたいのです。
15:25しかし今は、聖なる者たちに仕えるためにエルサレムへ行きます。
15:26マケドニア州とアカイア州の人々が、エルサレムの聖なる者たちの中の貧しい人々を援助することに喜んで同意したからです。
15:27彼らは喜んで同意しましたが、実はそうする義務もあるのです。異邦人はその人たちの霊的なものにあずかったのですから、肉のもので彼らを助ける義務があります。
15:28それで、わたしはこのことを済ませてから、つまり、募金の成果を確実に手渡した後、あなたがたのところを経てイスパニアに行きます。

この時のパウロの思いは貧しい人々への援助が最優先であった。それからローマ、イスパニア(スペイン)伝道であった。マケドニアやアカイアの教会も裕福ではなかったが、それにもかかわらず、貧しい人々への精一杯の献金をした。
 特にマケドニアの教会のー人々についてパウロはこう記している。
 Bコリント二8:1〜
08:01兄弟たち、マケドニア州の諸教会に与えられた神の恵みについて知らせましょう。 08:02彼らは苦しみによる激しい試練を受けていたのに、その満ち満ちた喜びと極度の貧しさがあふれ出て、人に惜しまず施す豊かさとなったということです。

 アルテミス神殿に関わる事件(19:23〜40)
19:23そのころ、この道のことでただならぬ騒動が起こった。 19:24そのいきさつは次のとおりである。デメトリオという銀細工師が、アルテミスの神殿の模型を銀で造り、職人たちにかなり利益を得させていた。 19:25彼は、この職人たちや同じような仕事をしている者たちを集めて言った。「諸君、御承知のように、この仕事のお陰で、我々はもうけているのだが、 19:26諸君が見聞きしているとおり、あのパウロは『手で造ったものなどは神ではない』と言って、エフェソばかりでなくアジア州のほとんど全地域で、多くの人を説き伏せ、たぶらかしている。 19:27これでは、我々の仕事の評判が悪くなってしまうおそれがあるばかりでなく、偉大な女神アルテミスの神殿もないがしろにされ、アジア州全体、全世界があがめるこの女神の御威光さえも失われてしまうだろう。」 19:28これを聞いた人々はひどく腹を立て、「エフェソ人のアルテミスは偉い方」と叫びだした。 19:29そして、町中が混乱してしまった。彼らは、パウロの同行者であるマケドニア人ガイオとアリスタルコを捕らえ、一団となって野外劇場になだれ込んだ。 19:30パウロは群衆の中へ入っていこうとしたが、弟子たちはそうさせなかった。19:31他方、パウロの友人でアジア州の祭儀をつかさどる高官たちも、パウロに使いをやって、劇場に入らないようにと頼んだ。 19:32さて、群衆はあれやこれやとわめき立てた。集会は混乱するだけで、大多数の者は何のために集まったのかさえ分からなかった。 19:33そのとき、ユダヤ人が前へ押し出したアレクサンドロという男に、群衆の中のある者たちが話すように促したので、彼は手で制し、群衆に向かって弁明しようとした。 19:34しかし、彼がユダヤ人であると知った群衆は一斉に、「エフェソ人のアルテミスは偉い方」と二時間ほども叫び続けた。 19:35そこで、町の書記官が群衆をなだめて言った。「エフェソの諸君、エフェソの町が、偉大なアルテミスの神殿と天から降って来た御神体との守り役であることを、知らない者はないのだ。 19:36これを否定することはできないのだから、静かにしなさい。決して無謀なことをしてはならない。 19:37諸君がここへ連れて来た者たちは、神殿を荒らしたのでも、我々の女神を冒涜したのでもない。 19:38デメトリオと仲間の職人が、だれかを訴え出たいのなら、決められた日に法廷は開かれるし、地方総督もいることだから、相手を訴え出なさい。 19:39それ以外のことで更に要求があるなら、正式な会議で解決してもらうべきである。 19:40本日のこの事態に関して、我々は暴動の罪に問われるおそれがある。この無秩序な集会のことで、何一つ弁解する理由はないからだ。」こう言って、書記官は集会を解散させた。

 パウロは約3年ほどエフェソでキリストの福音を伝えた結果、エフェソだけでなく周辺の多くの人々が福音を聞き、キリストを信じる者が増え、その結果アルテミス神殿に来る人が減り、神殿の模型も売れ行きが鈍ってきた。デメテリオは明らかに原因はパウロがキリストを伝えだしたからだと思い、同業者を集めて、このパウロというヤツが人々をたぶらかせて、手で造ったものは神ではないと、言って、アルテミスの神殿と大女神をないがしろにしている、と吹聴した。それによって町中が、大騒動になったのである。
 言論、信仰の自由の点から言って、自分の信じるところを伝えることは何ら問題は無い。だた、他の人の信じることを攻撃したり、妨害したりすることは、誰にも許されることではない。
 しかし、私たちは自分の信仰を明らかにすることを躊躇する。明らかにすることで不利益を被ることを恐れるからである。
 一方、イエス様は「神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かって自分を無にして、僕の姿で現れ、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。」
 このイエス・キリストの十字架による罪の赦しを信じる信仰の故に、神はわたしたちの罪を許し、神の子として養い育て、正しい道に導いて下さる。だから、パウロのように、大胆に信仰を告白できなくても、後ろめたく思う必要はない。大切なことはイエス様のそば近くで御言葉に聞き入ることである。主にしっかりと繋がっていることである。そうすれば、必要なものは全て、神が与えて下さる。











19:21このようなことがあった後、パウロは、マケドニア州とアカイア州を通りエルサレムに行こうと決心し、「わたしはそこへ行った後、ローマも見なくてはならない」と言った。
19:22そして、自分に仕えている者の中から、テモテとエラストの二人をマケドニア州に送り出し、彼自身はしばらくアジア州にとどまっていた。