32 詩139篇

主よ、汝は我をさぐり、我を知りたまえり、
  汝はわが坐るをも立つをも知り、また遠くよりわが思いをわきまえたもう。
汝はわが歩むをも我が臥すをもさぐりいだし、
  わがもろもろの道をことごとく知りたまえり。
そはわが舌にひとことありとも、
  みよ、主よ、汝ことごとく知りたもう。
汝は前より後より我をかこみ、
  わが上にその御手をおきたまえり。
かかる知識は、いと奇(クス)しくして我に過ぐ
  また高くして及ぶことあたわず。
われいずこにゆきて、汝の御霊をはなれんや、
  われいずこにゆきて、汝のみまえをのがれんや。
われ天にのぼるとも、汝かしこにいまし、
  われが床を陰府(ヨミ)にもうくるとも、みよ、汝かしこにいます。
われあけぼのの翼をかりて、
  海のはてに住むとも、
かしこにてなお汝の御手、われをみちびき、
  汝の右の御手、われをたもちたまわん。
暗きは必ず我をおおい、
  我をかこめる光は夜とならんと、我いうとも、
汝のみまえには暗きものを隠すことなく、夜も昼の如くにかがやけり、
  汝には暗くも光もことなることなし。
神よ、汝のもろもろの御思いは、我に貴きこといかばかりぞや、
  その御思いのすべくくりはいかに多きかな。
我これを数えんとすれども、その数は砂よりも多し、
  われ目さむる時も、なお汝と共におる。
神よ、ねがわくは我をさぐりて、わが心を知り、
  我をこころみて、わがもろもろの思いを知りたまえ。
願わくは我に、よこしまなる道のありやなしやを見て
  我をとこしえの道にみちびきたまえ。